|
(「あとがき」より抜粋)
本書は、池袋コミュニティ・カレッジで2004年4〜8月に行われた「講座太陽 本屋さんの仕事」でのレクチャーに、部分的に追加インタヴューを加えて構成したものです。
独立系の個性的な書店が次々と登場して人気を集める一方で、老舗やチェーン展開の既存の書店もいろいろな試みを見せ、書店界が大きな転換期にある昨今。自分でも2000年にサイトを始め、本屋さんの真似事をしてみたところ、予想以上に楽しく、予想以上に大変だったことから、「本屋さんの仕事についてもっと知りたい」という気持ちが強まりました。そして、「注目を集める本屋さんたちにお話を聴いて、これからの本屋さん像を探りたい」という動機から、この講座を企画したのでした。ふだんは50人くらいのところ、100人を超える受講生が集まってくれたことで、本屋さんの仕事、書店というビジネスへの関心の高さを実感することになりました。現役の書店員の方が意外に多くて驚きましたが、現場で働いている人も、これからのヴィジョンを切実に求めていることが伝わってきました。
この講座の会場だった池袋コミュ二ティ・カレッジが入っている池袋西武百貨店は、リブロの発祥の地であり、アール・ヴィヴァン(現在は表参道のナディッフ)もあった場所で、すぐ向かい側にはジュンク堂池袋本店があるという、「本屋さんの仕事」を考える上では、なかなか象徴的な場所でした。
●
1回目の講座では、昨今の書店事情を俯瞰すべく、書店界の動向に詳しいフリーライターの永江朗さんにも加わっていただきました。
「本屋さんの仕事自体が、街のなかに限りなく溶解してきているのが、ここ数年の状況」と永江さんが語るように、デパート、ホテル、ファッションやインテリアのショップのなかにセレクト書店のコーナーができたり、何よりもインターネットにつながるパソコンのある場所はすべて「書店」になり、書店の機能があらゆる場所に拡散している現状があります。
受講生からの質問の多くは、新刊本も古本もたいていの本ならネットで買えるようになった今、リアルな本屋さんに求められるものは何か、リアルな書店はどうあるべきなのか、という問題でした。
その回答になるものを、講師の方々の発言からいくつか拾ってみます。
「衝動買いしたくなる本をどうやって並べるか、その魅力をどうつくっていくか。そういう編集能力、プロデュース能力、プレゼン能力といったものが、今後、書店の大事な仕事になっていくんだと思います」と永江朗さん。
(中略)
「儲からない」「大変だ」と言いながら、楽しそうな人々。本屋さんに限らず、自分の仕事を好きだと思えることは、人生において非常に幸福なこと。その幸福感が、皆さんから伝わってきました。
(中略)
講師を引き受けてくださった本屋の方々、そして受講してくださった皆さんにも厚くお礼を申し上げます。いろんな方のご協力によって、単行本にまとめることができました。また、「太陽レクチャー・ブック・シリーズ」のデザインをしてくれているグルーヴィジョンズ、本文レイアウト作業を担当してくれた平凡社の石澤由美さん、この本の企画を通してくれた平凡社の日下部行洋さん。そして、英語タイトルと英語コピーを考える際に、快くお知恵を貸してくださった柴田元幸先生にも、心から感謝いたします。 |