|
会田誠×八谷和彦×小谷元彦 『アートの仕事』出版記念トーク・セッション |
||
|
|
|
|
撮影:松蔭浩之 |
撮影:松蔭浩之 |
撮影:MOTOKO |
| 会田誠 アーティスト | 八谷和彦 メディア・アーティスト | 小谷元彦 アーティスト |
|
あいだ まこと。1965 年新潟県生まれ。東芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。同大学院美術研究科修了。著書に『青春と変態』『ミュータント花子』(ともに ABC 出版)、作品集に『孤独な惑星 会田誠作品集』(DAN ぼ)、『三十路 会田誠第二作品集』(ABC 出版)がある。2003 年、これまでの活動と創作風景をとらえたドキュメンタリー映画『≒会田誠 無気力大陸』(監督:玉利祐助)が公開された。2005年は夏にロンドン、11月にサンフランシスコで個展を開催。所属するギャラリーはミヅマアートギャラリー |
はちや かずひこ。1966 年佐賀県生まれ。九州芸術工科大学画像設計学科卒業。コミュニケーションのツールである〈視聴覚交換マシン〉〈ワールドシステム〉、ジェットエンジン付きスケートボード〈エアボード〉など、藤子・F・不二雄的な発明型装置の作品が多い。メールソフト『ポストペット』の企画者&ディレクターであり、ポストペット関連の企画開発を行う会社「ペットワークス 」の代表でもある。現在は、ひとり乗り飛行機〈オープンスカイ〉プロジェクトに取り組む。 |
おだに もとひこ。1972 年京都府生まれ。東京芸術大学美術学部彫刻科卒業。同大学院美術研究科修了。1997 年、初個展「Phantom-Limb」(P-HOUSE)を開催。「リヨン・ビエンナーレ(2000年)、「イスタンブール・ビエンナーレ」(2001年)、「光州ビエンナーレ」(2002年)など国際展にも多数参加。2003 年のヴェネツィア・ビエンナーレでは日本代表として日本館で展示。彫刻をベースに写真や映像作品も発表。所属するギャラリーは山本現代 |
|
※会田個展「恋の前厄」は、2005年12月7日〜2006年1月21日まで、ミヅマアートギャラリーで開催。 |
* 会田誠さん、八谷和彦さん、小谷元彦さんが参加した「GUNDAM 来たるべき未来のために」展は、2005年11月6日〜12月25日まで、上野の森美術館で開催。 |
|
次のページへ 1/2
|
――まずは自己紹介をお願いします。 会田 会田誠です。昭和40年生まれの40歳です。既婚です。子供は男の子がひとりいます。よろしくお願いします。 八谷 八谷です。おもに電気を使った作品をつくってます。昭和41年生まれの39歳です。既婚です。子供は女の子がひとりです。よろしくお願いします。 小谷 小谷元彦と申します。昭和47年生まれの33歳です。えーと、未婚です。がんばってしゃべりますので、よろしくお願いします。 |
|||||||||||||||||
|
会田誠さんの近作紹介 |
|||||||||||||||||
|
――では、お兄さん順に、会田さんから、最近の作品について解説していただけますか?
会田 まだ続くんですか? あー、イヤな汗がでてきた。これは、今年の夏にロンドンであった展覧会のためにつくったもので。まあ、作品をつくるきっかけというのは、実は単純なことだったりして、後でいろいろ偉そうなことを言ったりしますが、これも単に「会田って、ビン・ラディンにちょっと似てるよね」と言われたことがきっかけです。ちょうど展覧会をやってるときに、ギャラリーの近くで地下鉄爆破テロがあって、中止かなと思ったんですけど、根性のあるキュレイターだったのか、続けてくれましたね。この作品は、最初の3秒見れば十分で。僕は、アート・ヴィデオっていうのは、よそで見ても、退屈なことが多いから、徹底的に退屈でもいいのかなと思ってつくったんだけど。だから、小谷くんの作品とかはPV……PVって何の略だっけ?
会田 これは、「小さすぎる旅」とか「世界の車窓から」とか、ああいう3分間の旅番組みたいなのをつくろうと思ったんですよね。バックに流れているのは、モーツァルトの交響曲40番の第2楽章なんですけど、東京から出てきたばかりの頃、図書館でLPを借りて毎日聴いてたんです。上京したてで鬱っぽかった頃の、暗い青春のテーマ曲で。僕の鼻歌もかぶってるんですけど、あまり聴こえないですね。 |
|||||||||||||||||
|
八谷和彦さんの近作紹介 |
|||||||||||||||||
|
〈オープンスカイ〉 2003年〜
八谷 ここから先は、笑いはないです。えっとですね、今やってる〈オープンスカイ〉についてお話します。2003年に熊本市現代美術館での個展が急に決まったとき、前からつくってみたかった『風の谷のナウシカ』に出てくるメーヴェをつくってみようと思ったんです。3ヶ月くらいで準備して、まず1/2サイズをつくってみました。今、お見せしている映像ではちゃんと飛んでますけど、この直前に、一度、墜落しちゃって。制作費として300万くらいかかっていて、「300万がパーに……」って思ったんですけど、なんとか修理して、その日の夕方、再度飛ばしている映像ですね。
八谷 今は、本当に人が乗って飛ぶための実寸の飛行機をつくっています。来年、テストフライトをやる予定です。これは、このあいだ、愛知万博に出したときの写真ですね。制作費が結構かかっているプロジェクトなので、万博に参加させてもらったおかげで、大赤字だったのが中赤字になって助かりました。これから、北海道かあるいはオーストラリアとかに行ってテストフライトするんですが、現地で修理というのが難しいので、2機用意しておいて、どっちかが壊れたら、もう1機でテストできるように、2機体制で進行してるんですね。
八谷 最終的には機体を展示して、シミュレーターをつくりたいなって思ってます。今、テストパイロットは、僕も含めて4人いて、みんなハンググライダーの経験者です。危険もあるので、経験者じゃないと乗れないんですが、でも、乗りたいという人は多いんで、映像を投影して乗った気分になれる装置をつくろうと思ってます。今、モデルになってもらっているのは、珍しいキノコ舞踊団というダンスカンパニーのダンサーの山田郷美さんです。
八谷 これはガンダム展に出品している作品です。これは僕ひとりでつくってるわけではなくて、「ニュータイプテクノロジーラボ」という名義で、NTTの研究者の人と一緒にチームでやってます。この人たちの研究で面白いのがあって、人間をラジコンでコントロールする技術をNTTの人たちが持ってるんです。それだけだとちょっとヤバい技術なんだけど、面白く使う方法はあるんじゃないかと思っていて、以前からその人たちと組むチャンスを狙ってたんですね。美術の展覧会だと、エンジニアの人にとってはあまり興味のある目標じゃなかったりするんですけど、「ガンダムの展覧会です」って言ったら非常に乗り気になってくれてですね(笑)。ガンダムを見てた世代の人なので、一緒にチームをつくってやることにしました。 |
|||||||||||||||||
|
小谷元彦さんの近作紹介 |
|||||||||||||||||
|
〈エンガルフ〉 1999年
小谷 僕は彫刻科出身で、自分の核になってるのは彫刻なんです。ただ、自分のなかの彫刻概念を全部つくっていこうとしたときに、彫刻という形態だけじゃなくて、もっといろいろ実験的な表現をしていく必要があったんですね。コンパスの針の中心軸を彫刻に置きながら、どんどん外側に向かって円を描いていくような感じで活動したいと思っていました。
小谷 京都に養源院というお寺があって、まだ行かれたことがない方は、ぜひ一度行っていただきたいんですけど、そこに血天井というのがあるんですね。詳しくは『アートの仕事』のなかでしゃべってますけど、本で言ってないことを話すと、僕は、いつも作品のコンセプトはひとつだけじゃなくて、いろんなコンセプトが積み重なって重層的になるようにしてるんです。この作品の場合、「眼球のなかに入る」というのをコンセプトのひとつにしてました。この箱自体が眼球をイメージしたものとして考えていて、見る側は眼球に入りながら、眼球を見るというシステムを考えてました。出てくる画像に眼や牛の目玉(画像で透明な部分)を切り裂いた映像があるのはそのためです。だからこのシステムは、本来は立方体ではなく、巨大な球体がベストなんですよ。自分の血をシャボン玉にした映像は、眼を閉じたときに見える瞼の血管のイメージです。滝の映像は大量の涙のようなイメージなんですが、こういう感じで目の前に水がしたたり落ちてくるような光景って、眠る瞬間にたまに見たりするんですね。
小谷 これは『ストーリーテラーズ』(森美術館)という展覧会のためにつくった映像作品です。ジオラマをつくって、犬を少しずつ動かしてコマ撮りしてます。自分では「風景彫刻とは何か」「彫刻にとってアニミズムとは何か」という問題に対する実験としてつくったんですね。左の画面には家の風景が映っていて、朝から夜になったり、天候が変わったりして、時間がどんどん推移していきます。そのあいだ、右側の画面では、室内で犬がグルグル回っているという、すごくミニマルな作品です。
小谷 ガンダム展のオファーをいただいたときに、こういう展覧会の場合、アイデアが瞬発的に出ないとダメだと思ったんですね。で、アイデアがすぐに浮かんだので、引き受けました。マチルダ・アジャンのイメージを使って、戦争祭壇画をつくりたいと思ったんです。中央に女性像、その左右に兵士の死体をお供え物のように配置して、写真でもって神社仏閣の祭壇のようなインスタレーションをつくることにしました。中央の女神像は、聖母マリア的なイメージだけでなく、広隆寺や中宮寺の弥勒菩薩像にヒントを得ました。あと、マチルダは婚約してたので『エマニエル夫人』のイメージもあるなと。『愛の嵐』のイメージもあるなと。そこらへんからエッセンスを引き出して、センターのイメージを決めました。左右に配する兵士の死体ですが、これは、福沢一郎の〈敗戦群像〉という絵からものすごく影響を受けてます。地平線の雰囲気とか、しっちゃかめっちゃかになってる死体のかたまり感とか。死体の顔面変形は、山下菊二の戦争画を念頭に置いてつくりました。このくらいの顔面変形は描かないと、戦争という問題を深くとらえられない。いずれにしても、戦争を体験しているわけじゃないので、本当に深くはとらえられないんですけど。戦争を題材として、作品にする以上、中途半端な変化球でなく、ストレートな球を投げると決めました。 |
|||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||